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【まつ田せいこ丼の物語】なぜ私たちは日本海全域へと目を向けたのか?味と品質を妥協しない、魚屋の覚悟とこだわり。
■ はじめに
冬のわずか2ヶ月弱、福井の海岸線にある「魚屋の喰い処 まつ田」が一年で最も活気づく季節。
その中心にあるのが、私たちの看板メニューである「まつ田せいこ丼」です。
丼を覆い尽くすカニの身、中央に輝く濃厚なオレンジ色の内子、そしてプチプチと弾ける外子。
ありがたいことに毎年全国から多くのお客様に足をお運びいただき、お取り寄せも含めてたくさんのご愛顧をいただいております。
しかし、この一杯のせいこ丼が現在の形に行き着くまでには、魚屋としての葛藤と、味を守り続けるための大きな決断がありました。
1. はじまりは、地元・越前町産のせいこがにから
まつ田せいこ丼が誕生した当初、私たちが丼に乗せていたのは、地元・越前町で水揚げされたせいこがにだけでした。
港からすぐの場所にある魚屋として、「目の前の海で獲れたカニを最高の一杯に仕立てる」というのは自然なこだわりであり、最初の誇りでもありました。当時は販売数も限られていたため、地元産のカニだけで一杯一杯を丁寧に仕立ててお客様にお届けすることができていました。
2. 直面した現実:漁獲規制、価格の高騰、そしてお客様の期待
転機は、テレビやSNSなどを通じて全国から「まつ田のせいこ丼を食べたい!」というお声を想像以上に多くいただくようになったことでした。
同時に、海の環境は年々変化していきました。
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資源保護のための厳しい漁獲規制
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日本海全体でのせいこがにの水揚げ量の減少
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それに伴う市場価格の記録的な高騰
もし地元産だけにこだわり続ければ、「数量限定でごく一部のお客様にしか届かない」、あるいは「一杯の価格が高騰しすぎて誰もが気軽に食べられない高嶺の花になってしまう」という現実にぶつかりました。
「遠方から楽しみにしてくださるお客様を断りたくない」
「でも、カニの質を落としたり、身の詰まりを誤魔化すような妥協は絶対に魚屋としてできない」
私たちは大きな岐路に立たされました。
3. たどり着いた決断:日本海近海から「選りすぐり」を集める
そこで私たちは視野を広げました。
「石川県から鳥取県に至るまで、同じ冷たく清らかな日本海近海で獲れるせいこがにの中から、一番状態の良いものだけを魚屋の目利きで厳選しよう」という決断です。
福井県民にとって「越前」という名前は特別な誇りです。
しかし、名前に縛られて品質を落としたり提供を諦めるよりも、「今、一番内子が詰まっていて美味しいせいこがに」を仕入れることこそが、プロの魚屋の誠意ではないかと考えたのです。
石川、京都、兵庫、鳥取——。
日本海はひとつの豊かな海で繋がっています。
それぞれの漁場の蟹ももちろん越前と同じく素晴らしい品質と品質管理でブランド化されています。
そんな中から、その日その日で最も身入りが良く、内子の発色が美しい極上のカニをルートを駆使して集め、まつ田の厨房へ迎え入れています。
4. 変わらないもの:職人の「手剥き」と「絶妙な塩加減」
仕入れの枠を広げても、私たちの丼作りの根底にある技術と情熱は一切変わりません。
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職人の手剥き
せいこがにはオスのカニに比べて小さく、身出しには何倍もの手間がかかります。
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機械を使わず、職人が一杯一杯丁寧に手作業で殻から身を外し、内子・外子・カニ味噌を余すことなく取り出します。
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伝統の茹で加減
カニの個体差に合わせて、塩の分量と茹で時間を秒単位で見極めます。
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黄金比の盛り付け
どこから箸を入れても、カニの身、味噌、内子、外子が最高のバランスで口の中へ広がるよう、手作業で美しく敷き詰めます。
■ 魚屋からのメッセージ
「まつ田せいこ丼」は、単なるカニ丼ではありません。
移り変わる海の恵みと向き合いながら、全国のお客様に「本物の味」を届けたいと願い続けた私たちの歴史そのものです。
今シーズンも、石川から鳥取までの広い日本海から選び抜かれた極上のせいこがにたちが、職人の手によって一杯の丼へと生まれ変わります。
福井の海風を感じながら、職人の意地とこだわりが詰まったこの味を、ぜひ最後の一粒までお楽しみください!
※まつ田せいこ丼に使用しているせいこ蟹は、福井県(越前、三国)、石川県、山陰(兵庫県、鳥取県)産の中から選りすぐりのせいこ蟹を使用しております。


