魚屋の喰い処まつ田【公式】

越前海岸にある日本海が一望できる越前がにと地魚専門の海鮮レストランです。地元の越前で捕れた魚にこだわり抜いた魚屋直営のレストランです。ご当地でしか味わえない、四季折々の本物の鮮度と味覚をご堪能ください。

大将まつたく日記

2024-07-22 20:55:00

新幹線開業後

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令和6年3月16日に東京から福井県の敦賀まで延伸した北陸新幹線。

開業までの数年間駅前の再開発だのPRだのとかなり莫大な資金を投入して各所整備されてきた。

福井駅前はマリオットホテルがコートヤードブランドで開業し、横町のようなスペースもできた。

多少の賑わいができたようだが、地元の人で賑わっている感じだ。

外からのお客様が大挙として福井に訪れる画を描いていたと思う。

予想ではかなりの経済効果が見込まれていたがふたを開けると、コロナ前の2019年の数値に満たないらしい。

これは衝撃的だった。

この数年何をしてきたのか?と疑問に思う。

交通手段が便利になったとはいえ目的のないところには人は来ない。

目的があればどんな手段を使ってでも来る。

この事象が如実に証明したのだと思った。

コロナ前の2019年と比べると宿泊者数は-25.8%・・・衝撃しかない。

これだけお金をかけても結果が出ないことがあるんだなと怖くなった。

民間だったらこんなことしていたら会社などとっくに潰れている。

気を引き締めないと煽りを受けることになるので、自分たちの生き残る道を亀のように進むだけだ。

おかげさまで当店はたくさんの季節ごとにお客様にお越しいただいている。

当店には目的がある。

おいしい海鮮料理は当たり前。

それにプラスして大切にしているのは接客でお客様と話して少しでもいい思い出で帰っていただくことだ。

福井駅から車で40~50分もかかる不便な立地なのにわざわざ県外からまでも、最近では海外からもお越しいただける。

感謝しかない。

自分で心に決めているのはどんな状況でも最高においしいと思える魚介類をお客様に提供することを生業とすることだ。

ビジネスではない。生業だ。

だから朝2時に港に出向くことも苦ではない。

生きざまに共感してくれるお客様が来ていただければいい。

そこに最善を尽くすのみである。

立地のいいところに踊らされるように出店するようなことはしない。

地に足を付けて昨日の自分を少しでも超えれるように進むだけだ。

私は亀とウサギの話が好きだ。

ウサギは亀と勝負したから余裕を感じてさぼったんだと思う。

亀は自分を少しでも超えようと歩を進めていたら結果勝っていたということだ。

すぐに結果だけを求めて2段飛ばしではいつかつまずくし自分が歩みを進めた過程の風景が過ぎ去ってしまう。

1歩1歩の思い出が詰め込まれるくらいゆっくりでもいい、人と比較することなく毎日の最高新記録を狙っていきたい。

明日も早起き頑張ろう。

 

2024-07-14 15:33:00

夏休み

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夏休みというとウキウキする気持ちに始まり、終盤に差し掛かるにつれて宿題が終わらない焦りと闘う少年のころの気持ちをいつも思い出す。

こんな辺鄙な田舎の村にもたくさんの海水浴客が押し寄せ賑やかになったものだ。

ローカルの特権で生き生きと海で泳いだ記憶が今でも蘇る。

砂の焼けたにおいとイカを焼く香ばしい匂い。

浜茶屋では小学生には高いので家に帰って昼ごはん。

テレビでは高校野球中継が常に流れていた。

一家で忙しい日々を過ごしている中、良くも悪くもほっとかれて育ったため毎日海にいた気がする。

そんなお客様には非日常が日常で感動するポイントが違っていた。

当たり前に見ていた夕陽もたまに来る人には感動の思い出だっただろう。

大人になり行動範囲が広がって旅行などできるようになって当り前じゃないことに気づかされた。

毎日が豊かな生活にあふれていたんだなと感じる。

自然は今も変わらず豊かだ。

われわれ人間が変わってゆくだけだ。

今年の夏休みは、大阪から住み込みのアルバイトが来る。

どんな出会いや思い出ができるか楽しみだ。

さあ、夏のはじまりはじまり・・・

2024-07-09 16:09:00

一魚一会の精神

当店では開店当初からテーマを「一魚一会」としている。

一期一会を独自に改造した造語だ。

魚を通じて出逢う人さまとのご縁や海の恵みに感謝して精一杯のサービスを展開することを信念に置いている。

まだまだ未熟なところばかりで達成されたものは何もないが一日一日の営業ではそのことを意識しながら営んでいる。

毎日、日付が変わるころに出港して危険な仕事にもかかわらず新鮮な魚を水揚げしてくれる漁師さんが居て自分たちの商いは成り立っている。

そして一緒に働いてくれるスタッフのみんなや家族の支えの中で店が成り立っている。

いつも来店して支えていただいているお客様あってこそ自分たちの生活も成り立っている。

全ては魚を提供することでつながっているご縁があればこそである。

この気持ちを忘れずに今後もこの地で店を切り盛りしていく。

 

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過疎化が激しく進み経営面や雇い入れの部分でもかなりきつい点はあるがこの地に根差して商いを続けていくことで地元に恩返しがしたいと考えている。

多店舗展開は今のところ考えていない。

この地でこの地域のものをお客様に知ってもらい足を運んでいただく。

来れないお客様にはお届けすることで越前海岸を感じていただけるような商品展開を心がけてこの地域のアンテナとなりご縁をいただきながら進化出来たらいいなと思っている。

もうすぐ夏休み。

沢山のご来店をお待ちしております。

2024-07-01 17:31:00

鮮魚へのこだわり

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大学を卒業してからすぐにこの職に就いた。

その頃はまだまだ魚種や魚の特性などわからずにただただ言われるままに魚をさばくことだけをやっていた。

そのうち刺身を引かせてもらえるようになり、お客様からおいしいという言葉をいただけるようになった。

これはお金ではない一番のご褒美だったしモチベーションだった。

やりがいを感じた。

と同時にクレームも直接受ける立場になった。

つらいこともたくさんあった。

頭を下げることよりもお客様の期待を裏切ってしまった自分への情けない気持ちで落ち込んだ。

今、その頃の自分に言えることは落ち込むなら始めから120点を取るつもりでやれ!ということだ。

慣れた頃だったのでなめていた部分もあった。

お客様の舌は敏感だ。

特に刺身というものは切り方ひとつ、もっと前の魚の締め方ひとつでおいしさが変わる。

別物になるといっても過言ではない。

ダイレクトに素材の味が舌に伝わるからだ。

それからというもの朝2時3時起きで港に向かい、魚を選ぶところから見直した。

帰ってから夕方17時までぶっ通しで仕事をする。

通常ならブラック企業と言われる。

しかしそれも自分の中で了承してやっている仕事。

おかげで魚の何たるか、魚ごとの自分なりの処理の仕方、様々なデータが手に入った。

言葉に厚みが増したと思う。

数、量をこなさなければこのスキルは得られない。

昨今簡単にまねはできる。

たくさんの商売が立ち上がるがほとんどが失敗する。

付け焼刃ではお客様の本能にぶっ刺さる体験を提供することができない。

結局のところ本物しか残れない。

自分たちは多くの失敗を重ねいろんな困難を乗り越えてきた。

失敗の改善に裏打ちされたデータがある。

そんな本物を売る店でありたい。

料金以上の価値を提供できるように明日も早起きする。

目標を持てない若者が多い中のめりこむことができるものがあったのは幸せなことだ。

明日もお越しいただくお客様一人一人に喜んでいただくことだけを考えて仕入れから120点を狙いにいく。

2024-06-30 04:30:00

地域に根差すこと

新幹線開業があり福井県として盛り上がりを見せた。

観光関係、飲食関係、様々な業種で期待をしていると思う。

100年に一度といわれる経済的なチャンスにどう乗るべきか?

開業前にいろんな方面から出店のお誘いをいただいた。

ありがたいお話だ。

しかしながらいろんなことを精査して及んだ答えは今の店舗にこだわることだった。

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それにはいくつかの理由がある。

一番大きな理由は海がここにあるから。

目の前が海というロケーションで楽しむ海鮮料理は最高だ。

この感覚を知ってほしくてここに店を持った。

海のそばで営業することで地元のn漁師さんとのコネクションが強く良い魚が手に入る。

流通を無くすことで中間マージンがない分漁師さんの取り分が増える。

店が流行れば流行るほど地元の漁師さんに還元できる。

漁師さんも儲かるから漁を続けたり後世に引き渡す。

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輸入物や流通で出来上がっている中央集権のビジネスは物価高、円安、流通麻痺など様々なリスクがある。

ましてや、止まれない莫大なランニングコストがかかる。

コロナのようなことがあれば力をつけていない店は淘汰される。

田舎であれば普段から閑散期があるためそういった波に合わせるスキルが身につく。

店一本ではなく販売や卸などを組み合わせて売り上げのポートフォリオを作っているので分散させやすい。

また直販できるものがあるので消費者の皆様に対してお得感のあるサービスができる。

なにより店を存続させて雇用を生み、管理することで街の景観が保たれる。

だから何か次の一手を打つときはまた地元でやることは間違いない。

人口800人の町を今後どう変化させていけるか?

これが残された人生で取り組む大きなテーマだと思う。

一心不乱に取り組むテーマがあって幸せ者だと心から思う。

そのために覚悟を持って強く歩みを進めていく。

 

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